文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大
  • ホーム
  • 調査研究論文
  • 表彰
  • 刊行物
  • 講演・寄稿
  • 財団の概要
調査研究論文
  1. ホーム
  2. 調査研究論文
  3. 中小企業の産業構造に関する調査研究
  4. 調査研究論文の要旨

調査研究論文の要旨

 

中小企業の生き残り戦略

  • わが国企業の環境変化についてみると、最大の問題は経済成長の鈍化である。そこで、 第I章では成長率の低下について分析した。その原因を需要面からみると、人口増加の鈍化による個人消費など、家計部門の需要低迷が挙げられる。一方、供給(生産)面からみると、就業者数の減少や労働生産性の停滞が原因である。このため、いわゆる「デフレ経済」に陥り、 企業は売上高の確保や収益の計上が難しいうえ、借入金の返済負担が重くなり、経営は一層困難を増した。
  • また、今後についてみると、わが国では人口減少時代を迎え、現状同様、需要面では個人消費などの家計部門、供給面では就業者数増加に多くを期待できない。したがって、わが国経済の再生は、労働生産性の改善が大きな鍵を握ることとなる。
  • そこで、 第II章では、企業の労働生産性に踏み込んで分析した。その結果、「バブル経済」崩壊後、大企業は緩やかながらも上昇を続けているのに対し、中小企業は下落に転じている。換言すると、中小企業の再生なくして、わが国経済の再生はあり得ないのである。ところが現実をみると、競争力が強いと思われている加工組立型や基礎素材型産業でも労働生産性は低迷しており、前途は多難である。
  • このため、第III章では、労働生産性低迷の原因を探り、中小企業の生き残り戦略について考えた。労働生産性は、付加価値率と人員1人当り売上高に分解できるが、付加価値率が上昇を続けているのに対し、1人当り売上高は「バブル経済」崩壊後減少に転じ、生産性の水準を押し下げているのである。
  • また、付加価値率と1人当り売上高を軸にとり、「総合化・多角化」「薄利多売」「高付加価値化」のタイプ別に生き残り戦略を提示し、今後は「高付加価値化」が主流であることを指摘した。具体的な方策は、商工中金のアンケート調査を参考に、人材育成や販売力強化などを列挙した。 その際、留意事項として、①「産業構造変化への対応」、②「サービス業参入は生産性向上が鍵」、③「参入障壁を高める」、④「資金調達の多様化」について言及した。
  • 以上のように、中小企業は「高付加価値化」型生き残り戦略を目指し、人材育成など中長期的視点に立った方策を再構築する必要に迫られている。ただ、経済成長が鈍化し、市場規模が拡大しないなかで、企業の自助努力だけでは限界があることも指摘した。その際、政府は今後とも、規制緩和や研究開発の促進など、創業や業種転換、新分野進出などを積極的に支援することが望まれる。

調査研究論文