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調査研究論文
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調査研究論文の要旨

 

北上・花巻地域の機械工業集と地域経済活性化への課題

  • 北上川流域地域はものづくり、特にわが国の経済発展をリードしてきた機械工業に不可欠な鋳・鍛造、金型、メッキ、機械加工、板金、プレス、プラスチック成型など「基盤的技術」の集積地であり、地方圏における基盤的技術集積の形成に成功した地域として有名である。
  • 北上、花巻両市はこの地域の中核都市であり、北上市は中堅、中小企業を含む企業誘致により、また、花巻市は戦時中の疎開企業とその協力企業、同社からスピンアウトした企業などに加え、企業誘致により進出した企業により、それぞれ基盤的技術の集積が形成され、地域経済発展の基盤として期待された。
  • しかし、中国や東アジアの台頭による生産拠点の海外移転、事業の選択と集中による大企業の国内生産拠点の再編成が進む中で、当地域の依存度が高い電気機械、精密機械などの産業の国内生産が縮小したことから、当地域の経済も低迷を余儀なくされた。
  • これは産業構造の大きな変化によるものであり、当地だけの問題ではないが、基盤的技術を活かした関連分野への展開の動きが鈍かったことが低迷の一因である。
  • 当地域の問題点として、①系列関係の枠内での縦割りの取引関係が主体であったため、域内での企業間の取引関係の広がりが乏しい、②新規受注への消極性、コストダウンへの対応力やインセンティブの乏しさから、価格設定が高い、③小物部品加工に偏った加工技術、設備、④高度化する技術への対応の弱さ、があげられる。
  • しかし、岩手県は岩手大学を始めとする研究機関が産学官連携に熱心に取組んでいる地域として注目されており、北上、花巻両市には、産学官連携の促進などにより企業の技術力高度化を支援する支援機関、企業間交流を支援し域内の取引関係の濃密化に取組む団体がある。また、創業支援などで実績を挙げる花巻市起業化支援センターの活動も全国から注目されている。これら支援機関や団体の活動は岩手の貴重な資産であり、これを積極的に活用して、コストダウン、技術力の高度化に取組み、受注先の拡大を実現していくことが当地域の企業の課題である。
  • また、岩手県には、北東北唯一の自動車組立工場である関東自動車工業㈱岩手工場がある。同社は着実に生産を伸ばし2005年10月に年産台数を15万台から25万台に拡大することを決定し、これを受け岩手県は、自動車産業を地域の産業群の第二の柱とするべく、地元企業の自動車産業への参入を支援している。自動車産業への参入するためには設備投資負担や自動車関連サポート企業の進出が少ないことなどの課題がある。しかし、自動車産業への参入は企業の受注拡大だけでなく、コストダウン能力や品質管理などのレベルを大幅に向上させ、他産業からの受注拡大につながるものとして、県では積極的な取り組みを進めている。
  • これらの活動を企業が真摯に受け止め、経営革新に取組むことにより、北上、花巻両市を中心とする基盤的技術の集積が、 多様で高度な技術を保有し、 高度化する機械工業を支える集積へと変革していくことが期待される。

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