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調査研究論文の要旨

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中小企業の高齢者活用の実態調査

1. アンケート調査結果

  • 従業員の平均年齢は「40歳台」とする企業が42.5%と半数近くを占めている。平均年齢が「40歳台」「50歳台」「60歳以上」とする企業比率の合計は68.1%となっており、従業員数規模別では小規模企業ほど、また、売上高増減別では減少率が高い企業ほど、平均年齢が高い企業が多い。
  • 従業員の年齢構成では「中・高年層が多い」が40.6%と最も多く、「高年層が多い」(16.2%)、「若・高年層が多い」(7.8%)を合わせると、年齢構成上高年層が多いとする企業は、64.6%となっている(なお、この調査では「10~20歳台」を若年層、「30~40歳台」を中年層、「50歳台以上」を高年層と定義している)。この比率は平均年齢と同様、小規模企業、売上高減少率が高い企業ほど高くなっている。また、今後の年齢構成の変化については、「中・高年層の比率が高まる」が31.9%と最も多い。これと「高年層の比率が高まる」(17.6%)、「若・高年層の比率が高まる」(2.7%)を合わせると、中年層、あるいは高年層の比率も高まるものの高年層のウェイトが高まるとする企業が52.2%と過半数に達している。なお、小規模企業、売上高減少率が高い企業ほど高齢化が急速に進展していくとする企業が多い。
  • 定年制についてみると、現状(平成17年10月末日 )は60歳定年が多い(64.6%)が、「定年の定めがない」とする企業が23.4%ある。また、定年後の継続雇用の状況では「制度はなく、継続雇用は行っていない」は9.1%に過ぎない。「会社が認めたもの」という限定がある企業が多いが、制度の有無にかかわらず継続雇用を行っている企業が多い。今後の方針については「継続雇用制度を導入し、一定の基準に該当するものに限り適用する」が48.8%と最も多く、「継続雇用制度を導入し、希望者全員について適用する」の割合は19.1%に止まっている。調査時点では「わからない・未定」が23.2%あるが、改正高年齢者雇用安定法の施行により、4月以降は何らかの対応が必要となることから「一定の基準に該当するものに限り適用する」ケースが主流となるものとみられる。
  • 高齢者(60歳以上、以下同じ)の活用状況をみると、60歳以上の高齢者を新規採用したことがある企業は39.1%。新規採用の今後の方針では、「必要に応じて新規採用していく」と「新規採用は考えていない」がそれぞれ4割前後の比率で拮抗している。新規採用、再雇用した高齢者の職種では、「現場作業(熟練・専門作業)」(45.2%)、「現場作業(単純・軽作業)」(41.5%)が群を抜いて多い。次いで「営業・外交」(18.4%)、「一般事務」(13.1%)、「管理職」(13.0%)などの順となっている。また、雇用形態では「正社員」が32.7%であり、「パートタイマー ・嘱託」(60.6%)、「アルバイト」(21.7%)などの形態が多い。
  • 高齢者雇用(定年延長、新規採用、再雇用)の目的をみると、「熟練技能等の専門的な能力を活用する」が42.0%と群を抜いて高い。また、 「即戦力となる」(27.4%)、「幅広い人脈 ・知識等を活用する」(22.3%)、「熟練技能等を若い世代に教育・継承させる」(21.3%)、「仕事の仕方等若手従業員に好影響を与える」(12.7%)など、高齢者が保有する能力を活用しようという姿勢がみられる。一方、「人件費を抑制する」(29.6%)、「助成金が得られる」(10.2%)など安価な労働力、として活用しようとする企業もみられ、人件費抑制という目的も強いものの、総じて高齢者の能力を評価し活用することを目的とする企業が多いようである。
  • 高齢者雇用を進める上での問題点としては、「社会保障費の負担が大きい」(31.6%)、「加齢による能力の低下が大きい」(29.2%)、「求めているような人材がみつからない」(27.1%)、「新知識やスキルへの適応が難しい」(26.4%)などが多い。社会保障費の負担を回避するためにパートタイマー等の短時間雇用者として高齢者を活用することにつながりやすい。 また、働く高齢者の側としても公的年金受給額減額などとの関連もあり、パートタイマー等の短時間雇用の形態を希望することが多く、結果的として高齢者の経験、蓄積した能力が充分に発揮・活用されない恐れがある。高齢者を雇用する際の保険料や年金額調整制度の見直しなどにより、企業が高齢者を雇用しやすく、高齢者がその能力を充分に発揮できる環境を整備することが必要であろう。
  • 小規模企業ほど高齢者が多く、今後高齢化が急速に進んでいくとみる企業が多い。また、本調査では小規模企業ほど売上が停滞、あるいは減少している企業が多い。小規模企業では安価な労働力として高齢者を活用しようとする志向が見受けられるが、 高齢者をいかに活用していくかは重要な課題である。自社の技術、サービス、ノウハウやマーケットなどに関する市場戦略を構築し、それに沿って高齢雇用者がその能力を発揮できるような長期的な観点に立った能力育成と配置、職場環境の改善等に取り組んでいくことが求められる。

2. 企業事例にみる高齢者活用への対応

  • 高齢者の労働へのニーズ、価値観は多様化しており、また公的年金受給との関連もあり、働き方のスタイルは多様化していく。企業としては、これらの変化し対応して就業形態や勤務態様を検討していく必要がある。また、技術・技能継承の必要性等に応じて処遇も検討する必要がある。 高齢者を戦力として活用している企業では、能力や経験を活かすため、仕事の内容を見直し、必要なスキルを設定したり、職務工程を再設計するなどの措置をとり、高齢者のスキルや能力を発揮できるように、就業形態、処遇、設備面などで改善が行われている。また、高齢者が働きやすい職場作りに取り組んだプロセスを通じて、若年者やリーダーの能力が向上し、組織全体の競争力強化、生産性向上などの面でも好影響が生じている。

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