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調査研究論文の要旨

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広島地域の自動車産業における取引関係の変化と地場企業の生き残り戦略

  • 広島県は国内自動車生産台数第5位の自動車メーカーであるマツダ株式会社(以下マツダという)の開発・生産拠点である。地域経済の盛衰はマツダの動向、及びこれを支える自動車部品関連企業群の環境変化、ニーズへの対応力に係る部分が大きい。本稿はマツダを頂点とする地場自動車関連企業を対象に、マツダが業績不振を克服し再生する中で進行している、マツダとサプライヤーの関係の変化とその要因、及びこれに伴ってサプライヤーに求められる能力の変化、課題等について考察した。
  • 自動車業界はグローバル競争を勝ち抜くために、コスト削減、高品質化、安全性の向上、省燃費などで、激しい競争を繰り広げている。また、環境問題の本命である燃料電池、電気自動車などの研究開発も必要である。これら課題への対応策として、軽量素材の導入、モジュール化への取り組み、部品やシステムのエレクトロニクス化などが進展している。
  • 広島の自動車関連部品企業の特徴は、①機械加工、板金、樹脂成型など加工業者的な性格の企業が多いこと、②マツダと直接取引を行っている企業が多いこと、③今後自動車のエレクトロニクス化の進展に対応するうえで重要な、エレクトロニクス関連企業の層が薄いことなどにある。

一方、モジュール化、エレクトロニクス化、開発コストの低減を推進するため、製品開発へのより早期段階からの参画、部品開発・生産に関連する他企業との調整能力、品質保証負担能力など、tier1企業への要求水準が高度化している。これに対応するため、合併、事業統廃合や発注形態の変更などにより、tier1企業の規模の拡大、サプライヤーの階層間の移動など自動車関連企業の再編成が進んでいる。

  • 環境問題、安全性向上に対応する上で、今後はエレクトロニクス化が自動車の技術革新の中枢を担うとみられている。広島地域はエレクトロニクス関連企業の層が薄いため、部品メーカーがエレクトロニクス化に対応していく上でネックとなることが懸念されている。エレクトロニクス化の中核を担う企業の確保、育成が県を挙げての課題となっている。
  • 広島はマツダを中心とする企業城下町型の性格が強い産業集積地である。企業城下町型の産業集積は往々にして古典的な集積パターンとして積極的に評価されることが少ない。 しかし、大企業の分工場を核として形成された産業集積とは異なり、地域内に意思決定と開発機能を持つ中核的な組織が存在することは、地域内の企業にとってこれら組織との緊密な情報交換を通して、技術力の向上や取引関係の形成、拡大などの面で優位性をもたらす。このような優位性を積極的に活かして自社の事業を強化していくとともに、中核企業のニーズに応え中核企業の事業基盤を支えていくことは、自社の発展基盤を保持していく上でも重要である。

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