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調査研究論文の要旨

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「中小企業と受注先の多角化」-中小機械・金属工業にみる多角化への対応と課題-

  • 部品や機械設備など製品の生産のために使用される生産財は、企業からの注文を受けて生産活動が行われる。特に下請企業に典型的に見られるように営業活動をあまり行わず、限られた特定企業からの受注に依存して受注を行う企業が多い。しかし、経済がグローバル化し大企業の海外への生産移転が進む中で、大企業の海外生産による受注の縮小を回避し、また受注量の変動等のリスクを減らし発展を図るためには、特定企業からの受注に大きく依存する受身の経営から脱し、受注先の拡大、多角化を進める必要がある。
  • 2006年に当財団と商工中金が共同で実施した調査結果をみても、受注先を多角化する企業が増加している。しかし、特定企業からの受注に依存してきた生産財関連の中小企業が、受注先を多角化することは簡単ではない。そこで、本稿では事例調査に基づき、中小機械・金属工業の受注先多角化について、その視点、多角化に向けての課題等について検討した。
  • マーケティング戦略では参入する業界を選択する基準として、利益ポテンシャルが大きい構造を持つ業界を選択することの重要性を説く。 しかし、中小企業が利益ポテンシャルを大きくできる条件は、差別化できること、買い手への依存度を低下し、買い手の交渉力を弱めることなど、限られている。
  • 中小機械・金属工業にとってのProduct(製品)はコスト、品質、納期、精度などの要素の組合せで構成される。技術、人材、設備等の経営資源から自社の強みを分析し、どのような組合せで競合他社と差別化を図るかという視点で、事業セグメントを探索・選択することが重要である。
  • 受注先多角化で一番問題となるのは Promotion(販売促進)である。良い技術を持っていてもその情報が伝わらなければ、自社の存在を認知してもらえない。事例企業の多くでは、ターゲットとする業界などを定め、個別企業を探索している。 機械メーカーや仕入れ業者、知人などからの情報収集に努め、その紹介などにより受注先の開拓が行われている。 また、普段の取引振りなどを通じて形成される口コミや評判、ホームページを通じた情報発信なども重視されている。コンタクトする先として技術部門を重視しており、継続的技術情報の提供、 加工方法や形状の提案などを行い、 自社の印象づけを図っている。また、展示会への出展を重要な情報発信の場と認識し、受注先開拓に有効な機会と考えている。
  • 受注先多角化に伴う課題として、多様なニーズが発生するため技術面でのチャレンジが必要となること、IT化のレベルアップによるきめ細かな生産管理が必要となること、受注先の秘密厳守などがある。
  • 受注先の多角化は、個別企業の戦略として重要なだけでなく、地域に根ざす中小企業の発展、地域外からの需要搬入による地域経済活性化という点でも重要である。この様な活動を支えるためには、展示会等などへの公的支援とともに地域内の外注企業のレベル向上等が必要である。

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