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調査研究論文の要旨

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「中小企業における事業承継」

  • 中小企業経営者の高齢化が進展している。経営者の高齢化により、事業の縮小、廃業増加が予想され、事業承継への取り組み、対策が大きな課題となってくる。
  • 子への事業承継は減少傾向にあり、親族以外への承継が増えている。内部昇格などを視野に入れた承継計画構想が必要となるが、個人保証、個人資産の担保提供、経営と企業所有権(株主)の分離確保等、 問題クリアに向けた条件整備が求められる。
  • 子への事業承継は減少傾向にあるものの、承継の本流であることに変りはない。後継者としての社内外への認知、経営者としての資質確保のため、OJT、ジョブローテーション、経営権の委譲等を計画的に行うことが望ましい。 他社での就業経験、OffJTなども、人的ネットワークの形成、学びと気づきの機会として有益である。これらを通して、経営に関する「テクニカルスキル」、組織をまとめる「ヒューマンスキル」、戦略的思考能力などの「コンセプチュアルスキル」の計画的な習得を図ることが、円滑な事業承継には必要である。
  • 事例企業が示すように、 事業承継は経営環境の変化への対応など経営革新を行うための契機でもある。事業承継を機に家業的体質からの脱却、差別化、新事業への展開等が行われている。
  • M&Aによる事業承継を選択する企業はまだ比率としては低いものの、増加する傾向がみられる 。こうした背景としては後継者不在企業の増加に加えて、 事業拡大の手段としてM&Aを選択する買い手企業の増加、仲介機関の増加といった要因があると思われる。
  • 中小企業のM&Aにおいては譲渡価格よりも、事業の存続と従業員の雇用・処遇を重視する傾向が強い。大企業のように企業情報が開示されておらず、業態も多様であることから、M&Aの相手先の探索・選定は取引金融機関や仲介機関を通じてなされることが多い。また、株式非公開企業がほとんどであるため、当事者同士の合意がM&A成立の前提であり、当事者相互の信頼関係も重要となる。
  • 取引価格の根拠となる企業価値の評価方法としては、純資産価額法による評価額に技術力、営業基盤等の無形資産の価値をのれん代として上乗せする場合が多いが、実際の取引価格は交渉次第である。また、基本合意契約後に実施される買収監査によって、不適切な会計処理、不良債権、簿外債務、環境問題等が発見され、最終的な取引価格が大きく減額される場合もありうる。
  • M&Aによる事業承継は最後の選択肢である場合が多いが、M&Aにより、シナジー効果を発揮して業績の伸長に結びつけている事例も少なくない。円滑、成功裏に事業承継を実現するために、早い時期から検討、準備を行うとともに、日頃から外部からの評価を意識して、自社の企業価値を高める努力が求められるところである。

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