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調査研究論文の要旨

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産業集積の現状と課題

  • 人、資金などの面で制約がある中小企業にとって、近接地域内に関連工程の企業が多数存在する産業集積は、重要な存立基盤の一つである。しかし、中国など新興国の台頭は、競合製品の輸入増による産地の縮小、機械工業における海外への生産移転など、国内各地の産業集積に大きな負のインパクトを与えている。
  • 産業集積については、生産集中の要因とメカニズムなどから集積の形成と分散・移動を研究する理論や、集積内外の取引関係、技術連関などに基づいて、それぞれの集積が持つ機能の地理的拡がりに注目する理論がある。前者は、規模の経済性の大きさと輸送費用の水準・変化により、集積の形成と既存の集積の分散・移動を説明するものであり、中国での規模の大きな集積の形成、周辺集積地の分散・移動が導出される。また、後者では、集積の広域化と機能の地理的複層化の進展を踏まえ、産業集積の広域的活用の可能性の増大と広域的活用の必要性が導出される。
  • 知識創造、イノベーション創出と地域との関係に注目する研究も増えている。それらの研究では、知識創造における暗黙知の重要性、技術発展やイノベーションに伴う不確実性を低下させるための集団的な機能、知識創造と学習の場としての地域の重要性などが論じられ、知識創造などについて地域の持つ機能が評価されている。機能を顕在化させるための条件として、サプライチェーンなど取引に基づくネットワークのほか、インフォーマルなネットワークの形成・充実、人材育成、物的・通信インフラ、公的機関の支援などが重視されている。
  • 産業集積には産業特性や需要の内容に応じて、分業体系が形成され、設備、技術、人材などが蓄積されてきたが、縮小・衰退期には、逆にこれらが個々の企業や集積全体の転換を難しくする、負のロック・イン現象が起きる。これを超克するためには、新たな知識、人材の確保・育成、意思決定や行動パターンの変革、地域内の企業間関係や分業構造の変革など経路破壊・創造が必要となる。
  • 発注地域の広域化などの変化は、個別企業の戦略であるが、産業集積内での企業間取引、産業集積間の取引関係の組み換え、分業体系の変更を伴う。これらは集積の経路依存性の破壊・創造の動きと見ることができ、企業データベースの充実と集積間での共有化、交流の活発化など、支援の強化が期待される。また、製品開発力の強化という観点から、意欲ある企業への支援、集積間の交流活発化などにより人材・技術の多様化が図られることが望ましい。
    ネットワークはこれらの契機づくりとして有効であり、その形成と充実、活動の活発化が望まれる。

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