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調査研究論文の要旨

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新しい産業集積としてのクラスターによる地域活性化

  • マーシャルは中小企業の産業集積が大企業の経営する大規模事業所と併存できる要因として、集積内での生産増加によるコスト削減効果が大きいと論じた。ポーターは多様なプレーヤーが連携する地域クラスターの意義を指摘し、その中で生じる「知識のスピルオーバー」を通じたイノベーションを重視した。また、サクセニアンは、クラスター内では経済的関係に加えて制度的・社会的関係を通じたプレーヤー間の信頼の構築が重要であると論じ、ポーターに影響を与えた。
  • 企業立地促進法の「基本計画」によって多様なプレーヤーの有機的な結合を通じた地域クラスターの形成・高度化が日本の各地で構想されており、「ブリッジ計画」や「広域計画」などによる複数の自治体を対象とした広域的なクラスターの構築も企図されている。これはポーターやサクセニアンの主張と軌を一にするものである。
  • 地域経済の活性化を担う基幹産業を構築するためのクラスターの具体的な例として、九州の半導体産業のクラスターをみると、生産個数・金額の減少傾向が長期的に続いていたが、近年はともに下げ止まっている。その要因として、MOS型半導体への生産シフトや自動車・家電のエレクトロニクス化に伴うハイブリッドICの単価上昇が寄与している。九州の半導体関連企業は厳しい再編の中で、生産性の向上に努め日本国内での地位を高め、反転攻勢の時期を迎えている。これには、九州でのクラスター高度化のための支援機関の取り組みも寄与しており、クラスターでの活動を通じて経営を高度化し地域経済の活性化に貢献している中小企業も見受けられる。なお、支援機関とクラスター内の企業は海外との連携強化を今後の課題としている。
  • ニューフードバレー特区に指定された新潟市の企業へのインタビューからは、農業部門への経営感覚の醸成などについて「知識のスピルオーバー」を促すために「農商工連携による6次産業化」による農業クラスターの形成が重要と考えられ、そのための農業経営体のガバナンス体制の整備の必要性が導出される。また、新潟経済圏をクラスターの範囲とした場合、1次産業については、新潟市が稲作、新潟市以外の地域が養豚等で主要な役割を担い、農産物の加工を新潟市の食料品製造業が担うことが合理的であり、広域的な連携とその連携に対する支援の必要性が窺われる。
  • クラスターの高度化を通じた地域活性化には、国内外との連携の広域化が必要である。そのためのクラスター内での多様なプレーヤー間の信頼関係の醸成等には、個人的ネットワークも用いてプレーヤー間の紐帯となるクラスター・マネージャーあるいはコーディネーターの力量が重要である。政策的含意としては、国内の多数の支援機関に属しているクラスター・マネージャーやコーディネーターのネットワークの結合が望ましいこと等がある。

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