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調査研究論文の要旨

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地場産業の現状と課題

  • 燕・三条は代表的な地場産業の地として知られる。燕は金属洋食器、金属ハウスウェア、三条は作業工具、利器・工匠具等で有名であり、 これらの最終消費財にかかる金属加工技術が集積されてきた。
  • 85年のプラザ合意以降の円高の進展、中国等新興国の工業化等により、これらの地場産業は長期にわたって規模が縮小し、地域経済におけるウェイトはかつてに比べ低下した。しかし、今なお地域の主要産業として一定の規模を維持しており、地場産業の振興が地域経済活性化の柱であることに変りはない。
  • 一方、地場産業で培った技術、設備などの経営資源を他分野に応用、高度化し、新たな最終財や機械工業関連の部品加工など多様な産業へ展開する動きがみられる。これら新分野のウェイトは増加しており、地域経済を支える新たな柱となっている。
  • 地場産業関連の事例企業は、高い製品グレード、小ロット、あるいは抗菌、エコなどの新機能の付加などにレーゾンデートルを見出している。 熟練技能による手づくりで強固な参入障壁を築いている企業もある。
    デザインを重視し、グッドデザイン賞を始めとして数々のデザイン賞を受賞している企業が多い。但し、デザインは競合相手と同等の価格という条件の下で、差別化要因として効果があると考えられており、機械化などによるコストダウンにも積極的に取り組んでいる。また、小売への販促活動、 販路開拓などマーケティングに力を入れている。
    生産に特化することが多い地場産業関連の製造業者の中で、これらの企業は多方面でマネジメント力を向上させ、戦略的に経営を展開している。
  • 地域企業の課題は、高級化、小ロット化、製品開発、マーケティング力向上等であり、企業、支援機関が保有する技術、知識、ノウハウ、情報の相互活用、製品・技術開発等の活発化に向けて、地域内での連携活動強化、行政単位を超えた連携深化が期待される。
  • 現在進行している小規模企業の減少は、分業生産体制に依存する企業の存立基盤を崩し、地場産業を過度に縮小させる可能性がある。 これを回避する意味でも、小規模企業対策として組織化推進が必要と考えられる。このほか、地域企業の販売・受注を支援するため、(地場産業関連の情報発信に加えて)多様な最終財や機械関連部品等に展開している地域の状況について、対外PR、情報発信を強化することが望まれる。また、新興工業国の市場開拓支援も今後の検討課題である。

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