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21世紀の事業活動を支える協同組合精神
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- 近年、地域社会問題の多様化・深刻化にともなって、社会的企業や社会企業家が注目され、ソーシャル・ビジネス(SB)やコミュニテイ― ・ビジネス(CB)に関する研究が官民双方において行われ、財政難の中で行政当局は推進の旗振り、先頭に立っているように見える。地域の社会的課題を事業性を確保しつつ解決し、社会貢献しようとするSB、CB等による事業活動を、社会イノベーションとして捉える者も居る。
- 間民間人によるこうした近年の取組みは、欧米諸国に淵源があると思われているが、しかし全く新しいものなのであろうか?また、そこで示されている事業精神は、わが国において古来より行われ、今日の協同組合が受け継いできた「講」や「無尽」などの精神とは、異なるものなのだろうか?
- これらは欧州においては、「社会的経済social economy」として認識されてきたものであり、その役割を担っている組織の中で重要とされている協同組合cooperativesには、大きな期待が寄せられている。つまり、協同組合における「協同」の精神が、協同組合をして社会的課題の解決に立ち向かわせていると考えられるからである。
- 社会的経済は、経済的社会的環境変化に柔軟に対応し、かつ革新的であり、従来の企業が常に機能しうるとは限らない今後必要とされる領域で、企業家精神や雇用の重要な源になっており、協同組合は、その社会的経済を最も良く体現していると考えられている。したがって、現在顕著に見え始めたソーシャル・ビジネス(SB)やコミュニテイ―・ビジネス(CB)、或いは社会的企業は、こうした文脈の中で理解される必要がある。
- 近年、協同組合は過去の遺物のごとく扱われているが、21世紀においては、事業のあらゆる場面で協同組合精神が求められると考えられる。何故なら、社会的企業、ソーシャル・ビジネス(SB)は、協同組合精神から発していると考えられるのであり、また、そこに基盤を置かないと21世紀社会における持続的な事業活動は不可能である。