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調査研究論文
中小企業の産業構造に関する調査研究
調査研究論文の要旨
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中小企業における人材の活用等の実態調査
人材の採用方法は、不定期での中途採用が中心であり、新卒については採用を行わないとする企業が定期採用・不定期採用を上回っている。こうした中で、将来の経営者層の候補、ソリューションの提案、技術・商品開発等の、特に高度な能力を必要とする人材を中心に全般的に人材の不足感が強い。一方で、 現有の人材については、全般的に期待を下回ると評価している。ただ、大学・大学院卒(理系)や高専卒の正社員については、相対的に期待を下回る度合いが小さい可能性がある。こうした状況下、賃金対比で生産性の低い従業員が多い中で、人員不足・業務繁忙から人材の計画的・中長期的な育成・活用が困難になっており、若年労働者の定着率の低さに起因する技能承継の困難さ等が課題となっている。また、非正規雇用については、定型的業務をパートタイマー・派遣社員、定型的ではない業務を嘱託・契約社員等で行っている。
人材の確保・定着の方法としては、待遇面では成果給への志向が強く、教育・訓練体制を整備し、上司・先輩の指導により、仕事のやりがいを意識させることを重視している様子が窺われる。一方、経営への参画(経営計画の策定や重要事項の権限委譲)については、余り行われておらず、従業員と経営陣の間に一線を画している企業が大宗を占めている可能性がある
従業員の能力形成については、方法としては長期的・計画的にOJTを行うことを基本に、資格取得の奨励、社内での集合研修や勉強会等で補完し、社内(と従業員本人)で行っている。目的 ・狙いをみると、知識の習得と問題解決能力の向上を過半数の企業が意識している。しかし、能力形成を重視している企業が多いものの、人材の育成が円滑に進んでいない。人材育成の成果が上がっている企業では、情報の共有とコミュニケーションの円滑化・向上を能力形成の目的・狙いとする企業が相対的に高く、暗黙知の共有(「形式知」への転換)による組織の構成員の経験・知識の集積による相乗効果や意思決定のスピード・アップの重要性が窺われる。
ワーク・ライフ・バランス(以下、「WLB」と略す)については、総じて認識が低く、所在地、規模、業況による格差がみられる。WLBの対策としては6割の企業が高齢者再雇用・継続雇用を、4割の企業が定年延長を実施しており、経験豊富な高齢者層を戦力として活用している。 また、育児休業も4割の企業が実施しており、特に、規模の大きい企業、女子従業員比率の高い企業、業況の良い企業で女性従業員の働きやすさに配慮しているものとみられる。取組み姿勢をみると、WLBの考え方を尊重している企業が過半数に達しており、人材育成の成果が上がっている企業では、WLBを制度化済み、あるいは制度化予定の企業の比率が、成果が上がっていない企業よりも高、WLBと人材育成の成果に正の相関がある可能性を窺わせている。
就業経験のない在学生への教育(教養・常識、積極性、論理的思考力等)についても、自社の従業員を派遣する、あるいは、留学させる場合の教育(新技術の習得、専門知識の高度化等)についても、大学・大学院での教育に対して中小企業は全般的に期待している。しかし、その教育に対する評価は全般的に期待を下回っており、就業経験のない在学生への教育については問題の発見と解決の能力、社会人に必要な基礎知識で、自社の従業員を派遣する、あるいは、留学させる場合の教育については新技術の習得、専門知識の高度化で相対的に評価が厳しい。また、業況が良い企業で期待感が高く、業況の芳しくない企業で評価が厳しい傾向が窺われる。
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