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中小企業の金融環境の変遷
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- 本論は、バブル崩壊後の中小企業を取り巻く金融環境がどのように変遷していったのかについて、金融情勢や行政等の視点も含めてとりまとめたものである。
- バブル崩壊後の金融環境は、ほぼ一貫して緩和状況にあった。公定歩合は過去最低の水準を更新し、大手金融機関の破綻などから金融システム不安が起きると、ゼロ金利政策や新しい量的緩和政策が実施され、わが国は超金融緩和状態になった。
- この間、わが国の金融行政は、住専問題や金融システム不安が発生する中で、金融機関の不良債権問題の正常化に向けて、次々と施策が講じられた。なお一方で、金融行政自体の改革も推進され、金融行政の担い手は大蔵省から最終的には金融庁へと移された。
- 中小企業政策も、バブル崩壊後の長引く不況で中小企業の経営が厳しい状況に置かれていることを背景に、相次いで金融対策を中心とする政策が実施された。また、この間に中小企業基本法の抜本的な改正もなされた。
- こうしたなか、中小企業金融は、金融緩和状態が持続したにもかかわらず低迷した。中小企業向け貸出は伸びが鈍化し、金融システム不安の前後にはマイナスの伸びとなった。中小企業の資金繰りも、金融緩和状態にあってもなかなか好転しなかった。また、中小企業の借入依存体質については、金融システム不安後、やや改善の兆しが見られるものの、依然として依存度は高い水準にある。