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調査研究論文の要旨

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中小企業の環境対応

  • 環境問題が複雑多様化し、地球規模に拡大する中、環境対応の内容は、特定の有害物質の規制や汚染源への対策から、地球温暖化防止、循環型社会への転換に発展しており、企業に求められる取り組みも公害防止のような直接の事業活動に伴う環境汚染対策に止まらず、二酸化炭素排出の削減、資源・エネルギー消費の削減、特定化学物質の使用制限等による環境負荷の低減、環境に配慮した商品 、サービス、製造技術の開発といった形での地球環境の保全への貢献にまで拡大している。
  • 環境問題への対応は中小企業にとっても重要な課題となっており、法令に基づく規制を受けるだけでなく、企業の社会的責任に基づく自主的な取り組みが求められている。中小企業の環境問題への取り組み状況をみても、企業の社会的責任、地域貢献、自社のコスト削減のため、さらには取引先からの要請に対応して、自主的に環境問題に取り組んでいる企業が多くなっている。
  • ISO14001等の環境マネジメントシステムを導入する中小企業の比率はまだ低いが、認証取得件数は増加している。 また、エコアクション21 KES、エコステージ等の中小企業にも取り組みやすい環境マネジメントシステムも作られ、導入する中小企業が増えている。
  • 事例企業はいずれも、環境マネジメントシステムに基づいて環境方針、環境目標、活動計画を定め、継続的改善に取り組み、経営者が積極的に関与する形で環境保全活動が行われており、従来から行っている改善活動や生産性向上の活動と結びつけて環境への取り組みが行われるケースも多い。 また、マテリアルフローコスト会計等の環境管理会計の手法を取り入れて製造プロセスにおける資源、エネルギーのロス削減に努めている企業もみられる。
  • 事例企業は環境対応の取り組みを通じてコスト削減、生産性向上という成果を上げており、環境保全への全社的な取り組みを通じて従業員の意識改革とモラールの向上も図られている。また、環境活動への取り組みから得たノウハウを活かして顧客企業の省エネルギーを支援する環境ソリューションビジネスに展開を図る等、新たなビジネスを展開している企業もある。
  • 中小企業には、従来の公害対策、環境汚染防止という枠を超え、環境対応をコスト増要因と捉えるのではなく、継続的な改善とイノベーションを通じて効率的な生産を実現し、資源生産性を高めることによって、環境問題に対応し、競争力を発揮していくことが求められている。

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