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製品の安全安心と中小企業
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- 商品選択における消費者の安全・安心志向は従来にも増して強まっている。安全に関する重大事故は企業の信用、ブランドイメージを大きく損ない、企業の存続にも関わる問題となる。安全な製品の開発 ・供給は企業の社会的責任であるだけでなく、企業の競争力を高め、競争を勝ち抜くための重要な方策となっている。
- 日本における品質管理の水準は高いものがあるが、それは製品の機能性、耐久性、精度といった面から追求されてきたといえよう。今後は、機能性や耐久性に加えて、使いやすさや安全性といった面が重視されるようになると思われる。
- 企業活動の社会、環境に対する責任が強く求められる中、安全な製品、サービスを提供することは企業の社会的な責任の1つとみなされつつある。大企業を中心に製品安全への取り組みをCSR活動の一環に位置づけ、リスクアセスメントの手法を取り入れる動きが活発化しており、食品安全についても食品安全に関する国際規格であるISO22000の認証を取得したり、HACCP方式を採用して、組織的、継続的に取り組む企業が増えてきている。
- ガス機器、電気製品等においては、経年劣化、誤使用といった従来の安全基準では想定していなかったような要因による事故も発生している。欧米ではすでに製品安全の面でも「合理的に予見可能な誤使用」への対応が求められており、日本国内でも電気用品安全法の改正が検討されている。企業はこれまでのように国の安全基準だけを守っていればいいという対応から、より高い安全性が求められ、誤使用、経年変化といった「想定外」の事故への対応も必要となる。顧客情報・事故情報の収集、迅速・的確なリコールの実施を行う一方、リスクアセスメントを実施して、リスクを洗い出し、製品の安全設計等による安全対策を行うといった組織的、継続的な改善活動が求められよう。
中小企業においても、リスクアセスメントの手法を導入したり、食品安全に関する国際規格の認証を取得する等、積極的に製品安全に取り組んでいる事例がみられる。中小企業は製品安全への取り組みを通じて顧客、取引先からの評価とブランド価値を高め、競争力に結びつけていくことが重要である