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調査研究論文の要旨

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中小企業の社会的責任(CSR)に関する調査

  • 社是・社訓・経営理念(以下、「社是等」)を有する企業は全体の約8割、規模の大きい企業、業況の良い企業ほど、有する比率が高い。経営への反映の状況をみると、「公表している」、「計画に織り込んでいないが、社是等の精神に則っている」、「社是等に基づいて、活動方針を立てている」、「社是等に基づいて、経営計画を策定している」の順に比率が高い。
  • 用語としての「企業の社会的責任(CSR)」についての認識をみると、『知っている』企業が過半数を占めている。
  • 中小企業は社是等に基づいて、より良い製・商品、サービスの提供、地域社会への貢献、法令順守等を中心にCSRに取り組んでいる。ただ、事業環境の変化とともに、法令順守、地球環境保護を始めとして、様々な項目についてもCSRとしての重要性を認識する企業が増えている。また、社是等が「ある」企業の方が「ない」企業よりもCSRに関して進んだ対応をしている。
  • 法令順守については、大半の企業は現状把握には留意しているものの、マニュアルの作成や担当部署・役員の設置等の体系的取り組みが進んでいる企業は少数に止まっている。
  • 環境保護の取り組みをみると、「省資源、省エネルギー、廃棄物の削減・リユース・リサイクル(3R)」の比率が約7割と最も高く、これに「生産活動、業務遂行における効率向上、無駄の排除」が過半数で続いている。取り組む主な目的・理由をみると、「法令の順守」の比率が最も高く、これに「地域社会への貢献」が半数超で続いている。 主な成果をみると、「従業員の満足度、モラールの向上」の比率が最も高く、過半数に達している。
  • 地域社会への貢献についてみると、「商工会議所 ・商工会等、経済団体の活動への参加」の比率が最も高く、これに「地域活動、伝統行事、文化活動、スポーツへの協力」、「従業員の雇用」、「学校教育への協力」等が続いている。地域貢献の目的・理由をみると、「自社の知名度・イメージの向上」の比率が最も高く、これに「地域経済の活性化」等が続いている。「地域住民・企業の協力」が地域貢献の活発化、円滑な遂行に必要とする比率が高く、過半数に達している。
  • 従業員の生活・教育・人権に関する取り組みをみると、「勤務時間の適正な運用」の比率が最も高く、これに「職場の安全や衛生の確保」が続き、過半数に達している。以下、「育児・介護の支援」、「従業員一人一人にその能力に応じた活躍の機会を与えること」等が続いている。
  • CSR全般についての自己評価をみると、中小企業は『行えている』とみている。
  • CSRに取り組む目的・理由をみると、 「企業イメージの向上」 の比率が最も高く、これに「経営理念等に社会的責任の履行が含まれている」、「従業員の満足の向上」が続き、 過半数に達している。 メリットが大き目的・理由をみると、「企業イメージの向上」の比率が最も高く、唯一過半数に達している。 CSRのデメリットをみると、「コストの増加」の比率が最も高く、唯一過半数に達している。これに、「人手の不足」が続いている。
  • CSRに取り組めない理由をみると、「人手が足りない」の比率が最も高く、唯一過半数に達している。これに、「コストの増加が予想される」等が続いている。
  • CSRの支援策に対する判断をみると、「官公庁・公的機関、経済団体等からの情報提供」を『必要』とする度合いが最も高く、これに「様々な取り組みに対する補助金」、「様々な取り組みを行うと利用できる減税措置」が続いている。 一方、「官公庁 ・公的機関、経済団体等による表彰制度と表彰を通じた企業のPR」、「CSRについての『第三者認証』」は『不要』と判断している。
  • 赤字計上を「よし」としないが、利益の追求に黒字企業ほど拘らない企業、いわば「ソーシャル ・ビジネス的な特性」を有した中小企業が一定規模で存在していることが示唆されている。
  • 大企業のサプライチェーンに属している企業のCSRは、販売先からの期待・要請もあり、他の企業よりも進んでいる。この結果、販売先との関係は強化されている。しかし、売上増等、業績に直結する成果は少ないため、販売先からの取引上の優遇を『必要』と考えている。

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