競争法の側面からは、サプライチェーンを通じたCSR(企業の社会的責任)の推進に名を借りて、減額、協賛金等の負担の要請、従業員等の派遣の要請といった日本法で「優越的地位の濫用(Abuse of Superior Bargaining Power: ASBP)」として禁止されている類型に類似した行為(ASBP類似行為)によって、国内外のサプライヤー(大方は中小規模の企業)にコストを不当に転嫁する事態が発生するリスクが考えられる。リーマンショック後に制定された米国の金融規制改革法(ドッドフランク法)の内容を米国証券取引委員会が具体化した「紛争鉱物規制」が施行されたことにより、このリスクが世界中で問題化する可能性がある。