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中小企業各政府系金融機関の役割
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- 本論文は、中小企業政府系金融機関について、それらが設立された時期に遡ってその背景や経緯について確認するとともに、設立以降各機関が中小企業金融政策の中で果たしてきた役割や現在の機能等について整理したものである。
- わが国の経済金融構造の変化とともに、中小企業政府系金融機関は、その機能を多様化し、あるいはスクラップアンドビルドをしつつ、中小企業の多様なニーズに対する支援を推進してきた。戦前、戦後から現在まで、その時々の中小企業のニーズに対応してきた結果、現在では中小企業の成長段階の各ステージに応じ一貫した支援の体系が整ってきているが、その役割は決して固定的なものではなく、過去の機能とは様変わりしつつ、その時代の要請に応えてきた。
- 中小企業政府系金融機関の役割を整理すると、まず、金融の繁閑や景気の好不況にかかわらず中小企業が資金を必要とする時期にいつでも資金を提供する機能があげられる。次に、自然災害など全国各地で起こる事態に対して中小企業を支援するため、全国どこにおいても政策金融を提供する役割がある。最後に、中小企業の各ステージに応じて多様な資金調達手段を提供する役割がある。
- わが国では今後も、経済のグローバル化など経済金融環境の変化や、少子高齢化などわが国特有の社会構造の変化が見込まれており、また、景気循環による中小企業への影響も引き続き予想される。中小企業政府系金融機関は、今後もその役割を絶えず見直しながら、経済金融環境の変化の中で中小企業が成長発展していくために必要な金融ニーズに適切に応えていくことが求められる。