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中小企業におけるソーシャルメディアの活用と生産性向上
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- 「ソーシャルメディア」には、SNS、動画共有サイト、メッセージングアプリ等がある。スマートフォン等のモバイル端末の普及によって、多くの利用者にとって情報の受発信に不可欠なツールとなっているため、大企業はマーケティングに活用しようとしている。
- 中小企業のソーシャルメディアの利用率は欧米で高い一方で、日本は主要国の中で最低である。日本の中小企業ではグループウェアとして活用するケースがありその効果として、社内情報の活用、業務プロセスの合理化やノウハウ等の明示・共有、企業間連携の推進がある。また、グループウェアの利活用が進んでいる企業では生産性が向上している。
- グループウェア型ソーシャルメディアを運営する企業のケーススタディの含意は、映像や写真等の情報を隔地間で迅速に共有できるため、現場従業員の課題の解決や、ある拠点で有効なツールの他の拠点への周知、顧客から提示された取引条件に対する決裁等を迅速化でき、意思決定プロセスをフラット化すれば生産性の向上に役立つこと等である。
- 中小企業を対象とするケーススタディによると、グループウェア型ソーシャルメディアはコミュニケーション・ツールとして従業員が分かりやすく使いやすいため、情報共有の迅速化、社内外との連携、情報の利活用に効果が高い。特に、先端的なITソリューションを用いて業務の中核部分のワークフローを高度化しようとする企業にとって、中核的業務の周辺に付随する後方事務の効率化を支えるツールとして機能している。
- 中小企業がソーシャルメディアを活用するにあたっての留意点は、①マーケティング・ツールとしてよりもグループウェアとしての活用の方がハードルが低い、②生産性向上のためには削減した残業時間を付加価値の増加に寄与しうる活動の強化に充当する、③中小企業ではバズ・マーケティングの難易度が高いので、ビジネスモデルに適したITソリューションとの連携によりマーケティングの効率化を検討する、④情報セキュリティやレピュテーションへのリスクを回避する体制を構築する、等である。