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事業性評価におけるクラウドファンディング活用の可能性について
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- 事業性評価を行うとき、金融機関は当該企業の財務情報と非財務情報から判断する。
- 「財務情報」は数値化により判断基準の明確化が可能なのに対し、「非財務情報」は数値化が難しい。例えば、経営者自身のビジョンや経営理念、製品・サービスの内容などは、情報を共有することで金融機関側が理解することはできても、それをどう評価するのか、基準を決めて運用することは困難である。従って、なんらかの対応が必要である。
- そこで、クラウドファンディングプラットフォーム事業者とプロジェクト実行者へのヒアリングを通じて、クラウドファンディングを利用したプロジェクト実行者に係る情報には「非財務情報」に活用できる内容が含まれているか、また、プロジェクトの成否から評価することが可能か検討した。
- クラウドファンディングから得られる情報は、ローカルベンチマークの「非財務情報」の4つの視点(①経営者への着目、②関係者への着目、③事業への着目、④内部管理体制)を評価する上で有効なものがあることが判明した。
- 結果、「クラウドファンディング」は事業性評価に活用することが可能であると考える。特に、「購入型」「寄付型」「株式投資型」は、経営者自身のビジョンや経営理念と製品・サービスの内容を中心に支援者に訴えており、そこには「非財務情報」が含まれている。「クラウドフ ァンディング」の情報を利用することで、金融機関は企業の「非財務情報」に係る判断材料をクラウドファンディング利用者である「支援者」の集合知から得ることが可能ではないか。
さらに、金融機関職員がプロジェクト実行者とクラウドファンディングの準備・経過・結果についての情報共有を行うこと自体が、事業性評価のための「対話」の時間となるため、事業性評価にクラウドファンディングを活用する価値は十分にあると考える。