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調査研究論文の要旨

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サービス産業における生産性向上について―IT の導入とその課題―

  • サービス産業はわが国のGDPの約7割を占める重要な産業であり、その大部分は地域の中小 企業によって担われている。日本のサービス産業の生産性が海外との比較で低いという指摘 があるが、換算レート・サービスの質の違いもあり、単純に比較することは難しい。しかし、 これらの要因を勘案しても低いという調査結果もある。一方、少子高齢化に伴う生産年齢人 口の減少、人手不足が既に現実のものとなっており、サービス産業の労働生産性の向上は日 本経済が成長・発展していくための極めて重要な課題となっている。
  • 本調査では、平成27年度(2015年度)調査研究事業「地域中小企業の経営革新-サービス 産業における生産性向上と人材確保の取組-」において中小サービス業を中心に地域中小・ 中堅企業を対象に事例調査を実施した企業を中心に、コロナの影響を含めた現状における経 営革新への取組と人材不足への対応の実態を調査した。
  • 事例企業においては、2015年時点で既にサービスの現場データの収集、分析にITを活用し、 業務改善を社内体制整備につなげるなどのDXが推進されていた。
  • 今回の調査では、さらなる業務改革推進を行っているもしくは行う準備をしている企業があ った。特に既に導入しているシステムを常にアップデートしている企業においては、その動 きが顕著であった。一方で、さらなる推進にはシステム構築などのコストがかかるため、導 入を断念もしくは先送りしようという企業もあった。
  • 自社内部を改革するためのDX推進は、比較的低コストで導入でき、自社にシステムに明る い人物がいて経営に参画している場合などは、着手が容易である。
  • しかしながら、外部データの取得、システム構築、IT人材の新規雇用・育成などのコストを 考え、導入に慎重になっている企業もある。中小企業の生産性向上にかかる負担を、金銭面 並びに体制面で支援する施策が求められている。

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