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着地型観光による地域活性化と中小企業
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- バブル経済崩壊や労働力人口減少等により疲弊していた地方経済にとって観光の産業化によ
る地域活性化には、国策による後押しもあり大きな期待が寄せられた。観光関連事業者のみ
ならず地域住民も参加し地域の魅力を磨き上げ、その魅力を発信し共感を持った観光客に来
てもらう着地型観光は、多くの地域で実践されるようになったものの、その成果は一様では
なかったといえよう。
- 本稿では、地域の活性化に観光を利用する背景(観光産業の成長性や観光の歴史、マスツー
リズムから着地型観光への変化)について概観した後、一定の成果をあげている4つの会社
や団体へのインタビュー結果から、成果をあげるには何がポイントなのかを明らかするため
考察を試みた。
- インタビューの結果は、①大きな危機感がきっかけとなり、②危機感をその地域のトップな
どが抱き行動を起こし、③解決に当たり適切な外部人材の活用と、地域に精通した地元住民
等との間で十分な協力ができ、④観光地の独りよがりとならない観光客目線やビジネス目線
を取り入れ、⑤ターゲットに適切に情報を届ける仕組みを導入できたこと、⑥ ③~⑤をビジ
ョン・マスタープランの作成に生かしていること、以上のような特徴があることが分かった。
つまりは、出来事(きっかけとなる重大事)× 人(強力な推進者、外部と内部の人々の協力)
× 目線(観光客のニーズ、ビジネスとしての持続可能性)× 情報発信の掛け算が成果に大
きな影響を与えているのではないかと考えられる。
- 全ての事例ではないものの、最近サステイナブル・ツーリズムの視点を取り入れた観光に力
を入れている事例が複数みられ、今後新たな潮流となる可能性もある。
- 着地型観光は、着地(地域)のおかれた環境がそれぞれ違うことから、これを行えば成功で
きるといった方程式がないのが悩ましいところである。しかしながら、着地型観光の成功は、
地域における観光産業の活性化に繋がるものと思われ、そして観光産業を支える中小企業の
活性化にも繋がるものといえよう。ケーススタディで明らかになったポイントは4事例に共通
してみられたものであり、取り組みにご苦労されている地域や団体等が、着地型観光の推進
に向けて本稿が参考になれば幸いである。