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ダイバーシティと中小企業経営
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- わが国のダイバーシティの歴史は浅く、これまでは女性差別を禁止するジェンダーに
関心が集中していた。また 人的資源管理については大企業目線で語られる通説が流布
している。中小企業は固定観念に縛られることなくその必要性や意義、効果について
熟慮することが求められる。
- 生産年齢人口の減少が続くわが国では、高齢者や女性の労働市場への参入増により人
的資源量を維持してきた が限界に近づいている。労働生産性も伸び悩んでおり、量・
質の両面から人的資源はこれまで以上に希少な経営資源となる。
- 障害者の多くは労働参加しておらず、わが国固有の人的資源のなかでは残された最後
のフロンティアといえる。
- 外国人労働者数は180万人を超え年々増加しているが、就業者総数に占める比率は3%
にも満たず国際的にみてその比率は低い。その受入れ先の多くは中小企業である。
- わが国の社会集団は、共通の場、タテの人間関係を基本とし、序列意識が強く組織特
有の常識に縛られやすい。そのため単一思考となり柔軟性が失われ硬直化が進む。
- 中小企業のほうが大企業よりも多様な人材が集まる可能性が高く、労務人事管理態勢
は柔軟である。またコミュニケーションも確保しやすく多様な意見や考え方が反映さ
れやすい環境にあると考えられる。
- 多様な人材が活躍できる組織風土を醸成し価値創造につなげるためには、組織として
一つの方針に基づき活動するための「経営姿勢・理念」が重要となる。
- マイノリティ人材の不安を取り除きその潜在能力を引き出すためには、心理的安全性
を確保し、異文化理解力を高めることで、インクルージョンの状況に近づけることが
重要となる。そのうえでチャレンジを推奨し、失敗が許される組織文化を醸成してい
くことが望まれる。
- 事例先はともに明確な目的を持って外国人材を採用し、経営者主導でインクルージョ
ンマネジメントを実践している。その結果多様な知が融合され、定量的にも定性的に
も大きな効果を上げている。
- 中小企業はその特性や持ち味を活かした現場での取り組みを通じて、大企業に先んじ
てダイバーシティ経営を効果的に運用していく知見やノウハウを獲得できる可能性が
高いと考えられる。