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事業継続力強化と中小企業経営ー競争優位の確立に向けてー
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- 企業は事業の維持を図るために「守り」を重視した活動を行うなかでも、その強化につながるヒントを探し出そうとする「攻め」の姿勢を忘れてはならない。
- 事業継続力(BC)強化は、必要な経営資源をいかに確保するかという問題に帰結する。
- 事業継続力強化計画認定企業は、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資等の金融支援、補助金の加点措置等を受けることができる。また強化活動に取り組むことは、重要業務の見直しや機能改善、社内外の経営資源の棚卸を促し、平時の経営活動の改善に寄与することにつながる。
- わが国企業は規模の大小を問わずBC強化に向けた取り組みは十分とは言えない。
- BCP策定意向のある企業が想定しているリスクをみると、最上位は「自然災害」となっているが第2位以下は規模間で違いがある。大企業は情報セキュリティやシステム関連等再構築が難しいソフトな経営資源のリスク回避を重視し、中小企業は財務面の脆弱性、経営者個人への依存度が高いことを不安視している。
- 中小企業では事業中断リスクに備えて実施・検討している項目を絞り込んでいる。
- BCP未策定企業の理由をみると、大企業は中小企業以上に計画策定やそのブラッシュアップに人的資源や時間を割くことが難しいとみている。
- 実践を意識した訓練を繰り返し、計画をブラッシュアップし、有事を意識して日常業務にあたることが当たり前だという組織文化を醸成していくことが、真の事業継続力強化につながる。
- 事例では入口の段階のトップダウン方式による全社員の意識改革、「見える化」に注力し、ボトムアップ方式による社員の試行錯誤を通じた学習とその成長を見守り、活動を高度化しながら継続していくマネジメントが功を奏している。
- また資源の乏しい中小企業にとってBC連携は有効かつ実践的な選択肢となる。地域を災害から守り国土強靭化に資する自発的な取り組みは公益に資するもので社会的な意義も大きい。加えて平時にもメンバーのレベルアップにつながる。
- 組織が事業継続力強化活動を継続することはリスク回避の効果を生むにとどまらず、経営資源のレジリエンス強化とその有効活用を通じた経営の強靭化を促し、競争優位を確立することにつながる。