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調査研究論文の要旨

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中小企業組合による組合員のための人手不足対策支援の限界と可能性
―新規雇用と定着の視点から―

  • 本稿では、深刻化する中小企業の人手不足問題への解決策の一つとして、新規雇用や定着の視点から、中小企業組合がどのように組合員企業のニーズを汲み取り、人手不足解消につながるような支援を行っているのかについて、中小企業組合や組合員企業へのインタビューを通して明らかにし、組合員の支援に対するインプリケーションを示していくことを目的とする。
  • 中小企業組合の組合員である中小企業のニーズが時代とともに変化し多様化する中、足元では物価上昇にともなう価格転嫁や生産性向上による賃上げが重要課題となっている。さらに、特に中小企業における人手不足が喫緊の経営課題となっているものの、知名度や信用力が劣る中小企業単独での新規雇用は大企業に比べて非常に困難なことが先行研究により指摘されている。そのような中、中小企業の連携組織である中小企業組合は、組織化効果を活用することにより企業の小ささなどに起因する不利益を改善し、新規雇用や定着にも貢献できるのではないかとの問題意識をもった。
  • 消費者の購買行動のプロセスモデルをフレームワークとする研究としてAIDMAやAISASがあげられる。本稿ではそのフレームワークを、採用活動並びに中小企業組合による組合員の新規雇用にかかる支援活動事業の分析に援用することで、支援活動がAIDMAやAISASのどの段階に相当するのか、どのような効果があるのかなど組合の支援活動の共通点について検証している。但し、新規雇用や定着は最終的には組合員である受け入れ先企業の問題であり、組合の支援には当然ながら限界がある。そのため、組合員企業の企業努力や対策を促すような変化が副次的に起こってこそ、より高い効果を発揮するものではないかとの仮説を設定した。
  • インタビュー結果からは、合同企業セミナーや大学・高校の授業への組合員講師派遣など多様な支援の中で、組合員が組合による支援策への参加を契機に、自発的あるいは組合員同士の刺激により自社の魅力や技術力を再認識し、自社の魅力等を自信と情熱をもって伝えられるような変化を生み出していた。その結果、組合の支援の限界を超えて組合員企業の採用に関する課題の解決(直接学生等と交流することで深い接点ができ、知名度や信用力が向上するとともに、自社の魅力整理、経営者の関与強化)にもつながり、新規雇用に関して相乗効果を発揮していたことが分かった。そして、同時に変化が企業価値向上にもつながっているとの示唆が得られた。

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