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調査研究論文の要旨

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中小企業の従業員エンゲージメントⅡ
―ヒアリング調査に基づく実例分析―

  • 筆者が行った個票データ分析からは、中小企業が従業員エンゲージメントを高めるために行うフォーマルな方策(制度の整備等)が必ずしも効果を挙げていないことが明らかになった。このことはフ ォーマルな方策の制度設計が適切でない可能性と、インフォーマルな要素が制度の機能にプラスに作用していない可能性の存在を示唆する。
  • 企業のインフォーマルな要素を決めるものとして重要なものに「文化」がある。組織文化は業務の過程で生じる問題解決を通じ組織に蓄積・伝達されるもので、組織に意識的或いは無意識裡に定着する。
  • フォーマルな制度設計により従業員エンゲージメント向上の成果を挙げている企業の事例をみると、その特徴として、①エンゲージメント向上が企業価値向上と不可分に結びつくとの認識のもとで推進していること、②コストを十分にかけ徹底的に効果を追求していること、③改善を絶え間なく行っていること、④社長がリーダーシップを発揮していること、⑤部署を跨いで協力する社風の醸成と不公平感低減の仕組みづくりが挙げられる。
  • インフォーマルな環境整備により従業員エンゲージメント向上の成果を挙げている企業の事例をみると、その特徴として、①紹介により人材を採用することで組織文化を共有しやすくしていること、② 組織のタテ・ヨコの関係性が緊密なこと、③個々の意見や適性を尊重していること、④外部イベントへの参加を通じた成長機会の付与を育成の中心に据えて達成感と成長への実感を提供していることが挙げられる。
  • フォーマルな制度設計によるアプローチにせよ、インフォーマルな環境整備によるアプローチにせよ、従業員エンゲージメントを企業価値の向上と結び付けて徹底的に実施することと、経営者が関与することが重要である。
  • 人材の多様性の追求は企業の変化への対応力と創造性を高めるが、一方で個人と組織文化との軋轢や従業員同士の感情的な摩擦を増大させ、従業員エンゲージメントを低下させるリスクがある。しかし、企業内で「モラル・サークル」が緩やかに成立することを前提とすれば多様性を追求することは可能であり、従業員エンゲージメントが損なわれるリスクも低減できる。

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